治療を通してつらかったこと・うれしかったこと(メリルさん)

第6回より 「治療を通してつらかったこと・うれしかったこと(メリルさん)」

 

つらかったことは沢山あります。
術前化学療法で腫瘍を小さくするためのFECの効果が表れるどころか、炎症を起こし胸がパンパンにはれてしまったこと。
治療と言うのは何が起こるか分からないということを身に染みて感じさせられました。
吐き気が半端ではなく、1週間ほどほとんど食事がとれませんでした。今は良い吐き気止めなどがあるようですが、当時は吐き気への対処があまりなく、これが4クールも続くのかと思うととても憂鬱になりました。
しかし主治医が、この治療は私には効果がないと判断し、FECは1クールで終了。
HER2が2+だったことで早めにタキソテール・ハーセプチンに切り替えられました。
タキソテール・ハーセプチンは私にあっていたのか1度目の点滴により、触診で分からなくなるくらいに腫瘍が小さくなり、手術前の生検ではがん細胞が見つからなかったのです。
けれども、物事には良いこと面も悪い面もあり、私のがんによく効いた「タキソテール」の副作用は、これまたつらいものでした。
てのひら・足の裏がとても痒くなり、手・足の皮が一枚捲れてしまうほどで、腰や関節にも強い痛身が現れました。ステロイドの量を多めにしてもらうことで、なんとか緩和はされたのですが。

●うれしかったこと
主治医の言葉です。
化学療法の1回目は2泊3日の入院で点滴を受けましたが、炎症をおこしていたこともあり、点滴のあと胸がかなり痛みました。
その時に主治医が「痛みは我慢しなくていいから」、「痛み止めを上手に使えばいいから」と言ってくれ、とても気が楽になりました。主治医の言葉と言うのは、薬の一つだと思います。
もう一つあります。
術前の化学療法を終え、生検でがん細胞が見つからなかったので、術後化学療法を迷っていた時のことです。
せっかく少し生えかけた髪の毛をまた失ってしまうつらさと、薬の副作用のつらさもあり、できれば術後の化学療法は受けたくないという思いがありました。
その時、「違う病院で違う先生に話を聞いてみたらどうだろう」と、主治医みずからセカンドオピニオンを薦めてくださり、治療法を決めるきっかけを作ってくれました。
この主治医に出あえたこと自体が「嬉しかったこと」と言えるかもしれません。

治療後に感じたことあれこれ

●今困ること・嫌なこと
5年を経過し、一年に一度の検診のみの経過観察になりました。
乳がんの治療は10年とも一生とも言われていて、何もしていないというと「それでいいのか」と心無いことを言われるのが意外とつらい。
検診で病院に行くと帰り際に必ず「お大事に」と言われるのも気になります。
今の私は病気なんだろうか?先生にも言ってみました。「お大事にはどうなのかと思う。」と。
先生の回答は「病院では合言葉のようになっているから」ということでした。

●心配なこと
再発・転移の心配が心のどこかにあることです。
これは、どのような状態、状況であれ、がんを体験した人の共通の思いかも知れません。

がんになっていないひとへ
がんはまだまだ怖い病気かも知れません。けれど一人一人にあった治療法は必ずあるはず。
また、少しの生活習慣の見直しと検診は必ず受けよう。自己検診をしよう。自分で見つけた人もかなりいる。
どんなに気を付けていても絶対はない。自分を守るのは自分でしかないということ。自分を大切にしてほしい。自分の大切な人を大切にしてほしい。
大切な私の為に、大切な家族の為に、自分を守るのは自分しかないと思うのです