「胃がん治療体験と薬剤師さんに伝えたいこと」

   「胃がん治療体験と薬剤師さんに伝えたいこと」 3期ピアサポーター渡辺茂樹

2005年9月、人間ドックの胃X線検査で要精検となった。
10月の内視鏡検査で悪性腫瘍であることを告げられた。
2週間の検査入院後、3ヶ月待ちの2006年1月末に手術することに決まった。
「進行がんだったら・・・」「会社は辞めなければならないのか・・・」「胃がなくなったらどうして生きていけるのか・・・」など、多くの不安が頭をよぎった。
冷静さを装っていたものの、頭の中は真っ白!死も意識していた。
不安を抱えたまま手術台上の人となり、胃を全摘出、リンパ節郭清、術後補助化学療法(TS1+シスプラチン)を1年間受けた。

口内炎・手のこわばり・味覚障害・体重の激減、下痢や足元のふらつきなどの抗がん剤の副作用でつらい日々を過ごした。
今思えば、看護師さんや薬剤師さんに相談していれば、症状を改善することができたと思うが、当時はこれも治るためと強く思ってひたすら耐えた。
胃が切除されると、栄養障害やヤセになる。食物が急激に腸に流入して起きる「ダンピング症候群」、食道に逆流して起きる「逆流性食道炎」などの後遺症にも悩まされた。
下痢は急激に起きるため、外出恐怖症になった。
朝・昼・晩の規則正しい食事、ゆっくり良く噛む及びトイレマップに助けられた。
ダンピング症候群は、発生のメカニズムを理解してうまく付き合う。
渡辺合言葉は「いつもアメをポケットに!」
ゲップ、しゃっくりからつかえになると、苦しくて水も飲めない。
シッカリ30回、50回以上噛むこと、1口目2口目に気をつけて、自分のペースで焦りは禁物。
いまだに色々な後遺症に悩まされているが、今までの学習効果と患者同士の知恵と工夫で乗り切ってきた。
そして何よりも、がんになって考えた大切なことは、「仕事=命」から「一度っきりの人生、いい人生だったと思えれば幸せ=人生を楽しむ」ことへの転換。

薬剤師さんへお願いしたいことは「薬剤師さんの顔が見えること」「薬剤師さんの仕事が見えること」「コミュニケーションスキルの向上」と「チーム医療と薬薬連携の推進」です。

ピアサポーター5名の発表とグループワークの後、薬剤師さんから「まずは患者さんに聴くこと」「笑顔や真剣さが患者さんに伝わるようなコミュニケーションスキル」及び「いい薬局だねと言われるようにしたい」などの覚悟を聞かせてもらった。
今後とも、ピアサポーターの支援をお願いしたいとのお言葉も頂戴した。
医療関係者とじっくりお話しする機会なんてめったにあるものではない。
このような実践の場で得た知識と技術は、必ずやピアサポートスキルを向上させてくれることでしょう。