会場風景
穏やかな秋の午後、数多くの参加者が集まった市民フォーラム。日本初の創薬となった「成人T細胞白血病リンパ腫」の新薬の誕生、治療薬として承認されるまでの過程から「臨床試験(治験)」の重要性とその意義、そして正しい「臨床試験(治験)情報」の集め方までを知る貴重な機会となった。
【日本初の創薬誕生まで】
講演中の石田氏
日本初の創薬となった「成人T細胞白血病リンパ腫」の治療薬は、名古屋市立大学大学院医学研究科と協和発酵キリン株式会社との共同研究により誕生した。この新薬の登場により初めて治療する患者だけではなく、再発・難治のリンパ腫の患者に対しても効果が高く、今後は「次世代革新的がん免疫療法薬」として期待されているという話があった。
【臨床試験情報の読み方・探し方】
解説をする若尾氏
国立がんセンターがん対策情報センター長若尾文彦氏。昨年3月にがん患者の声を反映し、わかりやすくなった「がん情報サービス」のサイトを紹介しながら、正しい最新のがん情報や臨床試験情報の集め方について解説。インターネットだけではなく、がん拠点病院内にある「相談支援センター」の活用も有効である、という話があった。
【がん体験者と医療者を交えてのパネルディスカッション】
パネルディスカッションを
前に、講演をする小松氏
パネルディスカッション
左から司会進行役・
ミーネット花井理事長、
がん体験者・
ピアサポーター山田さん、
若尾氏、石田氏
石田氏、若尾氏の講演の後で行われたパネルディスカッション。このパネルディスカッションの前には、名古屋市立大学病院、化学療法部長の小松和弘氏から、臨床試験の重要性と共に現在の「がん情報サービス」内にある「臨床試験情報」は、専門家がみても分かりにくいという指摘がされた。また、患者自身が「臨床試験(治験)」について、正しい理解と情報を得ることが「医療を良くしていく原動力になる」という話があった。その後、がん体験者の山田さんから患者の立場からの発表があり、その後、一緒に臨床試験のあり方、患者にとっての臨床試験とはなにか?というテーマでディスカッションが進められた。また、会場の参加者からも質問が寄せられ、市民と医療者が一緒になって「臨床試験」ということを学び、理解しあう場となった。