がん体験から学んだこと 2期ピアサポーター犬飼祐子
私の病気発覚のきっかけは、腸閉塞になったことでした。そこで検査の結果大腸がんと告知されました。緊急手術をし、S状結腸がんステージⅣと診断されました。晴天の霹靂とはまさにこのことでした。当時はがんの知識は全く無く、手術をしたら治療は終わりだと思っていましたが、抗がん剤治療が始まりました。白血球減少や脱毛、食欲不振など副作用もあり、それに加えてがんの情報収集をするうちに厳しい現実を知り、この先どうなってしまうのか・・・という漠然とした不安に襲われました。しかし周りの人には心配をかけてしまうから言えず、肉体的にも精神的にも辛い日々を過ごしました。
このままではいけないと、術後4ヶ月した頃に、がんを克服した人と実際に会って話をしました。精神的にどん底だった私に、こういう人もいるんだ、と勇気をもらい、前向きなスイッチが入った瞬間でした。そして術後2年半が経った頃、ピアネットの開設を新聞で知り、ここで何かお手伝いをしたいと思い、ピアサポーターの勉強を始めました。ここで沢山のがん仲間と出会い、また学んだ知識が安心材料となりました。
私ががん体験から学んだことは、まずは自己管理をすることです。自分の身体の状態、体調、治療内容、検査結果などをしっかり把握することです。私はがんになってから日記をつけ始め、そこに食事内容、体重、体調、主治医から言われたこと、日々思うことなどを書いています。そして、主治医と良い関係を築くこと。医師とうまく付き合っていくにはコミュニケーション能力、患者力(自らの病気を理解した上で、患者自らが治療について考える力)が大事だと思います。それから食事はバランスよく食べること、情報収集をすること、ストレスをためないこと、仲間を作ることです。一人で悩まないで、患者会に参加したり、相談支援室など利用するのもいいと思います。
医学は日進月歩と言うように、この数年だけでも新しい手術法が普及したり、分子標的薬という新しい抗がん剤が使われるようになり、治療成績がぐっと上がりました。また名古屋にも陽子線治療施設ができました。こういった新しい情報を知ることで、希望を持ってがんと上手に付き合っていって欲しいと思います。